インプラント治療により患者を死亡させ書類送検された歯科医師の何が問題なのか

投稿者: | 2011年8月1日
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患者死亡 歯科院長書類送検へ

4年前に東京・中央区の歯科医院で、あごの骨に金具を埋め込んで人工の歯を取り付ける、いわゆるインプラント治療を受けた当時70歳の女性が死亡した事故で、警視庁は、67歳の院長が血管の位置をよく確認しないままドリルであごの骨に穴を開けた際に誤って動脈を切ったことなどが死亡につながったとして、近く業務上過失致死の疑いで書類送検する方針です。

4年前の平成19年5月、中央区八重洲の歯科医院で目黒区の北村繁子さん(当時70歳)があごの骨にドリルで穴を開け、金具を埋め込んで人工の歯を取り付ける、いわゆるインプラント治療を受けた際、突然、容体が悪化し、搬送先の病院で翌日、死亡しました。司法解剖の結果、死因は、口の中の出血によるものとみられ、警視庁は、治療に問題がなかったか捜査を進めてきました。その結果、治療を行った歯科医院の67歳の院長があごの骨の周辺の血管の位置を事前に画像などでよく確認しないまま、ドリルで骨に穴を開け、誤って動脈を切ったことなどが死亡につながった疑いが強まったということです。警視庁は近く、この院長を業務上過失致死の疑いで書類送検する方針です。この事故を巡っては、遺族が院長らを相手取り損害賠償を求める民事裁判を起こしています。

という記事。歯科医師の間では「今さら書類送検されたのか・・・」という感じなのですが、この件の何が問題なのか、ひとりの変態歯医者として語ってみたいと思います。

が、前提として私が歯医者として「インプラント治療否定派」であることを明記しておきます。否定派ですが、その治療を勧める歯医者もいればそれを求める患者もいるので、他の歯医者がインプラント治療を施すことを否定はしません。否定派ですが、あくまでひとりの変態歯医者としてこの件の問題点を語ってみます。

ニュースサイトでは語られないけど

今回の書類送検のニュース、報道関係各所のサイトを一通り廻ってみましたが、歯科医師の名前が出ていません。まだ逮捕じゃないので当たり前ですが。ただ、ちょっと調べれば「飯野歯科八重洲インプラントセンター」の院長ということはすぐにわかることですし、そこの院長が「飯野久之」という情報は情弱でもなければ簡単にわかることなので、敢えて書いておきます。事実なんだから仕方ない。

で、この飯野久之という歯科医師が起こした「医療事故」の問題点の一つ目は、

この事故は予見性があった

ということ。飯野久之氏は「その位置に動脈があることを予見できなかった」として過失を否認しているのですが、歯科大学の馬鹿学生が言うのならともかく、免許持ってる歯科医師がこれを言ってはいけない。特にインプラント治療を施してる歯科医師がこれを言ってはいけない。何故ならこの事故は、インプラント治療において最大のリスクなのだから。「下顎骨の中、及びその周囲には重要な神経及び血管が走行しており、これを傷つける可能性がある」というインプラント治療最大のリスクは、免許取り立ての研修医でも理解している。ベテランの歯科医師が「予見できなかった」では済まされない。

この辺の話は日本口腔インプラント学会のサイトに「下顎骨舌側への穿孔は死につながる」という項目が画像もあってよくわかりやすいかと思う(丸投げ)。

医療を行う以上、医療事故は避けられない。ヒューマンエラーは無くならない。だからこそ細心の注意を怠らないのが大前提なのです。

二つ目の問題点は、

彼が「著名であった」ということ

著名と言ってももちろん歯科界という狭い世界での話ですけど。でも、彼はインプラント関連の特許も取得していたりする「著名人」。インプラント勉強したての若手歯科医師ではない。ベテランなのだ。

今回の事故の原因は、警察が明らかにすることだ。でも、一般人はきっとこう思う。「ベテランすら失敗する治療なんてダメじゃん」と。それはインプラント治療を施している歯科医師にとってひどい痛手だ。若手歯科医師が医療事故を起こしても「やっぱり新米は駄目だな」で終わるのに。

個人的には飯野久之氏の「慢心」が原因なんだと考えている。きっと彼は「いつも通り」「いつもの手法で」「いつもの結果」が現れると思っていたはずだ。医療事故はそこに現れる。

結局何が言いたいのか

多くの歯科医師は自分が「人の命に関わっている」自覚がない。直接死に関わるインプラント治療や外科治療だけではない。一般的に「歯医者の仕事」と思われている虫歯の治療や入れ歯の治療だって人の命に関わっている。口から食えなければ生物は死ぬ。当たり前のことだ。人の命に関わっている自覚も、人の命を背負う覚悟も、多くの歯科医師は持っていない

また、多くの患者も自覚していない。今、人間が歯を失っても生きていけるのは、文明があるからだ。野生動物が歯を失ったらそれは死を意味する。栄養を摂取できないからだ。でも、人間は噛まなくても飲み込めるような食事形態を調理できるし、胃に直接食物を流し込んだりして生きていくことができる。でも、生きることは食べることで、食べることは噛むことだ。君が今日、その口で噛んだそのひと噛みひと噛みが、君を生かしている。

生きるために、歯医者は存在して、生きるために、歯医者へ行く。忘れないでほしい。変態歯医者からのお願いでした。

インプラント治療により患者を死亡させ書類送検された歯科医師の何が問題なのか」への2件のフィードバック

  1. たかし

    偶然、この医師にかかったことがあります。

    客を金としか見ていない酷い奴でした。そして狂ったように歯を削る。おかげで神経を何本も抜かれました。その後変えた後の病院でも治療が困難に。

    何かやらかすだろうと思ってたら殺人起こしてたんですね。
    あいつならやりそうです。

  2. みき

    この先生の治療はとにかく怖かったです。
    乱暴だし、治療中の患者の前で大声で看護師さんや歯科衛生士を怒鳴るし。

    神経抜いて根の治療も何回もして、高っい差し歯入れたのに、歯茎が腫れて痛いので他の歯科医院でレントゲン撮ったら膿がたまってますって…。はい、治療やり直しです。

    インプラントも受けましたが、本当に恐怖でした。
    他の患者さんから直接伺いましたが、麻酔が完全に効いてないのにインプラントされて、余りの痛さに先生に訴えるもスルーされて意識を失ったそうです。

    亡くなった方は本当にお気の毒ですが、この先生の乱暴な治療と独り善がりの変な自信、慢心さから起こるべくして起こった事件だと思います。

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